俺はもう、闘う事が少なくなった。
闘う必要が少なくなった。
闘う相手が少なくなった。
歳とったからかな。
昔、
“カール・ゴッチ”
というガチンコプロレスラーから育てられた
UWFってプロレス団体があった。
一度潰れて、また復活して、
“俺達は真剣勝負だ”
って、言っていた。
今でも大ファンだ。
今となっては
毛色の違ったプロレスだったって
バレちゃったけど。
そんな昔、
ブラジルから、
“ブラジリアン柔術”とかいう
厄介な奴らがやって来た。
元々、日本のものなのに、
日本では忘れ去られた技術。
次々とやられていく日本人選手。
そんな中、
“打倒グレイシー”
に燃えていたのは、
既に団体が消滅していた、
旧UWF勢だった。
“俺達の技術は本物の筈だ”
“ゴッチさんの教えに間違いなんてあるものか”
その時、
2期目のUWFに、一番弟子で入門し、
UWFで“鬼”の“可愛がられ”を味わい、
UWFでプロデビューを果たした、
“田村潔司”
に、グレイシー一族との対戦のチャンスが。
俺は、彼が丸刈りの新弟子の頃の
物販ビデオの時からファンだった。
プロレスは演劇じゃ無い。
身体を鍛え上げて、
技を受ける肉体を作り上げ、
相手をリングに叩き付け、
相手の技を受けて魅せる。
それを教え込まれた田村が、
“死合い”する。
“田村、グレイシーを倒せ”
“UWFは本当に強いんだ”
“証明するんだ”
祈っていた。
試合当日、
彼がリングに向かう時、
会場に響いたのは、
しごき抜かれた、
いじめ抜かれた、
彼が入門したUWFのテーマ曲だった。
決意の入場。
涙が溢れた。
“田村、ありがとう”
お前は、UWFを、
今でも信じているんだな。
それをね、
YouTubeで見つけちゃったw。
いやぁ。
魂、震えちゃったのよ。
https://youtu.be/AwAlwJOHFLQ?si=kEMFEUjWkGDMvrw0
https://youtu.be/gFT48jHsunA?si=LdVG0xgmwM2KFAhI
真剣勝負を、
プロレスとして、
魅せられる技量は、
今のプロ格闘家には無い。
久々に、俺の魂を
呼び起こしてくれたのは、
20年前の田村だ。
